2011年12月02日

娘の災難

宮古諸島の中に自らを「池間民族」と称する人たちがいる 宮古の中でも神事や祭事が群を抜いて多く 中でも彼等最大の年に一度の神事「ミャークヅツ」がある

池間民族とは池間島を発祥とし そこから分村した伊良部島佐良浜地区 宮古島西原地区その三地区の人々の総称である 通常ミャークヅツは三日間で行う神事だが なぜか佐良浜地区だけは四日間も行われている

長い年月を経て三地区ともにオリジナリティある神事へと変化してきたようだが どうやら基本は変わっていないようだ きょうはミャークヅツでおこった面白い話を・・・ ちなみにミャークヅツは男性のみの神事である

島で生まれた男たちにとってこのミャークヅツとは何よりも重要な神事であり 盆暮れに帰省しない男性でも生涯一度きりの初参加の年齢に達すれば それが海外在住であろうと神事に参加するため帰省してくる

アギヤーの大親分の娘の同級生がミャークヅツに参加する年齢になり 娘も同級男性陣応援のために東京から帰省していた そして四日目の最終日にとんだ騒動を巻き起こしてしまったのだ

娘の災難

神事を執り行う広場の中心には穴が開けられていて その穴に御神酒や様々なお供え物をしている 神事期間中はその穴に触れることは禁じられているし 穴に足を取られ転けることなどもちろん論外なことらしい

さらに神事を司るツカサンマ(司母)の中でも白い衣装を身にまとったオバァにだけはけして触れてはいけないと そんな昔からのしきたりがあるらしい

大親分の娘は男性陣応援のために自らも踊りの輪に加わり踊っていたそうだ その際に年甲斐もなく(ごめん)はしゃぎすぎたのだろう あろうことかその穴に足を取られて転けそうになった(本人談)とのこと

それだけならまだしも 転けそうになった際に思わず近くにいた人に手を掛けてしまったとのこと それがまたまたあろうことか白い衣装を身にまとったツカサンマのオバァだった なんたること二重の災難だな

昔からのしきたりは耳にして本人も知っていることだが 娘は高校卒業後に大学 社会人とずっと島を離れて生活しているため それが神事においてのけしてしてはいけないタブーだとはそうそう考えてもいなかったとのこと

娘の災難

まっ時代も昔と違い 年寄りたちと違って本人も「やっべぇ~触っちまったし 落ちてしまった」くらいの軽いのりでしか考えていなかったことだろう

それよりも娘は神事が終わった後の何十年ぶりの同窓会に胸を弾ませながら出かけていったそうな 今夜は飲めや歌えやで お互い年を重ねた同級生たちと思い出話に花を咲かせる気分でいたらしい

ところがである自宅から電話があって今すぐ戻ってこいとのこと 自宅に戻ると娘の母親(大親分の奥さん)はあんたは大変なことをしでかしたからこれからニガイ(願い)(お祓いの意味もある)をするからどこへも出かけるなと お目玉をくらったそうな

さほど重要に考えていなかった娘だが ところがどっこい年寄りたちからしたらめちゃくちゃ重要なことらしい そのハプニングを目撃した何名ものオバァたちから娘の自宅へと お宅の娘は大変な目に遭ったからニガイをしなさいと連絡が入っていたらしい

同級生たちが夜の更けゆくのも忘れ 思い出話に花を咲かせながらどんちゃん騒ぎに興じている頃 娘は母親にせっつかれながら一晩中ニガイをしていたそうな 



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Posted by insherman at 16:14│Comments(0)その他
 
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