2013年09月17日

アパ

アパって何?。ネットで「アパ」を検索しても出てくるのはアパグループのサイトだけで、ブログを覧ているみなさんもやはりアパホテルを想像することでしょう。しかしわたしがこれからお話しするアパとはオニダルマオコゼのことで、けしてアパホテルのことではありません。

アパとは宮古島の方言名で、英語名では「Stone Fish」と言われるように、海中で見てもそこら辺の岩や石とほぼ同じ形をしていて、色も周囲に合わせた擬態をしているのでかなり注意して見ないとまったく気がつきません。

オニダルマオコゼの背びれには毒があって、ネットで奴のことを調べてみると、毒は背ビレの13本の棘に存在し、それぞれに、約5~10mgの毒が含まれています。この内の3本の棘が刺さると大人でも致命傷となる可能性があるといわれ、オニダルマオコゼ1匹で体重60kgの大人を4人殺せるほどの毒だそうです。

この棘は長いもので4cmもあり、ビーチサンダルやダイビングブーツなど、簡単に貫通させるほどとても丈夫に出来ているようです。訊くところによると、刺された場合とにかくその痛みは半端ではないようで、あまりの激痛に意識障害を起こし、重篤の場合は呼吸困難や痙攣、最悪の場合は死亡するケースまであります。

実際沖縄本島の本部町では数年前に、ダイビングインストラクターだったと思うが、刺されて死亡する事故まで起きています。わたしも過去に網の設置作業中に岩の反対側まで手を伸ばし、その岩を支点として網を引っ張ったときに、指先が何やら若干弾力性のある物体を触ってしまったことがある。

とっさにその掴んでいた岩から手を離し岩の反対側を覗いてみると、そこには体長約30㎝ほどのアパがいた。思わず背筋がぞぉ~っ、運の良いことに指先が触れたのは奴の頭の部分だったらしく、その時は大事に至らなかった。

そのことがあってから、海中での作業中に何かで手を置くときは必ず目視で確認してから手を置くようにしているし、また岩を掴む際も視界に入らない反対側まで指先を伸ばさないようにしている。

アパ

そんな中、最近テレビによく出るニイニイが仕事中にとんでもなく衝撃的なことをやらかしてしまった。レジャーダイバーでも同じだと思うが、ある程度経験を積みちょっと過信するレベルのダイバーが事故をおこす確率が高いはずだ。

ニイニイも今はそんな時期で、危険生物や減圧症に対する知識が少ない割には、これまで何事もなく経験を積んできたので、こちらから見て恐い物知らずの行動を取ることが多々見受けられる。

言葉で注意して素直に訊く奴だったら注意もするが、性格上そんなタイプでもなさそうだし、本人気づくことが一番であろう。とにかく現在は一人じゃないんだと、家族がいるということを最優先で考えることだ。

あっそうそう何をやらかしたかというと、網の設置作業中のこと、奴がむこうから何かを手にして一目散に泳いできた。何かを見つけては素手でよく確保していたので、タコでも捕って見せ付けに来たのかと。

近くにやって来た奴の手元を見ると、海の中ではあるが自分の時以上にかなりの冷や汗がだ。奴が手にしている物は、なんと、なんと、アパだった。

海の中で喋ることもできないが、思わず手から離せと怒鳴っていた。自由の身になったアパは必死になって逃げていったが、その際一緒に作業をしていたもう一人の足下を「ヤバッ、刺された」と思わせるくらいに近くをかすめるように逃げていった。その時もさらにぞぉ~っだった。

船上で奴を叱りつけると、アパがそんなにも危険な魚だとはまったく知らなかったそうだ。とにかく今回奴はほんとに運がよかった。もし手にした部分が尻尾よりも上だったら、もしかしたら奴は今頃この世にいなかったかもだ。


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Posted by insherman at 21:46│Comments(0)アギヤー漁
 
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