2012年02月24日

コラム「南風」より  受け継がれたDNA

2010年12月15日 琉球新報 コラム「南風」に投稿した記事から


現在県内でアギヤー漁は伊良部島・佐良浜集落でしか営まれていない。この佐良浜集落と池間島および宮古島の西原集落3地区は、明治以前の昔に人口過密状態になった池間島からこの二つの地区へ分村した。

昔から宮古島の民の中でも特別海に携わって生きてきた彼らは「海洋民族」「漁撈(ろう)民族」としての誇りを持ち、自らの帰属意識の表現として「池間民族」と称している。

さらに彼らは宮古島の他の地域と違う独自の文化や習慣を持ち、先祖代々からの神事や祭事を特別大切に受け継ぎ、その受け継がれてきた物は民俗学的にも貴重であるらしい。

池間民族の概要はそのくらいにして、今回は佐良浜の人々の面白い習慣をお話しするとしよう。元祖池間島や西原の人々まで同じ動作をするのか定かでないが、佐良浜の人々は老若男女を問わず、うなずくときに頭を下から上へと動かす。

コラム「南風」より  受け継がれたDNA

おそらく日本全国標準的なうなずき方は上から下へが一般的ではないだろうか。この独特のうなずき方がこれまで会話した佐良浜のすべての住人に共通する動作なので、アギヤーのオジィに訊(き)いてみたことがある。

その時の返事がこれまた海洋民族らしいユニークさがあってとても面白かったのでここで再現。オジィ曰(いわ)く、

「佐良浜の人たちはほぼ全員が海で活きてきただろう。泳ぎながら水面上で会話するとき下向きに返事なんかしてみろ、口と鼻が水の中に入って溺れてしまうだろ。

溺れないためには上向きに返事するしかないじゃないか。だからそれが癖になって、誰もが陸の上でも上向きに返事するようになったんだよ」

この根拠のない返答に思わず腹を抱えて笑ってしまったが、しかし以外と理にかなっているようなオジィの論理だった。これこそまさに先祖代々から受け継がれてきたDNAなのだろう。



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Posted by insherman at 12:00│Comments(0)アギヤー漁
 
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