2012年02月18日

コラム「南風」より  追い込みが始まるまで

2010年9月18日 琉球新報 コラム「南風」に投稿した記事から


網の設置が終わると各サバニのダイバーは追い込みに備えるため母船に集結する。追い込み開始までのちょっとした時間、母船上でようやく僚船のメンバーと話をする機会がある。

このちょっとした時間帯が漁の中で僚船のメンバーと交流がもてる唯一の場でもある。しかしここでの会話に漁のことが話題になることなんてまずない。

御年70にもなる1人のオジーダイバーが中心となって下ネタのオンパレードだ。そこはオジーたちから出る話、内容にいやらしさなど微塵(みじん)もなく、どちらかというとお笑いみたいなかなり明るい下ネタばかり。

これまでのおしゃべりの中で面白い話がたくさんあって、このコラム上で読者のみなさんにも教えてあげたいが、ここは県を代表する琉球新報のコラム面、いくら面白いとはいえとても書ける内容ではない。

コラム「南風」より  追い込みが始まるまで

ダイバー全員が母船に集結し、最後に漁の責任者でもある潜り長が乗船してくると、その瞬間から全員の顔がハンター(ちょっと大げさに書き過ぎかな)のように引き締まってくる。

潜り長が船を操船し追い込みを開始する場所まで船を向けて走らせていく。そして潜り長の合図とともに一人ひとりが順番に海に飛び込んでいく。

ダイバーは横一列に広がって追い込みをするので、海に飛び込む際に船は停船することもなく、走らせながら順次飛び込んでいく。そして最後に追い込みの指揮を執る潜り長が飛び込み、そこからいよいよ漁のクライマックス追い込みの開始となる。

前回の記事と重複するかもしれないが追い込みが終わるまでは「潮の流れよ、そのままでいてくれ」と切に願うものである。なぜなら潮の流れは「乙女心と秋の空」のようにころころと変わるからである。

網は今現在の潮の流れに合わせて設置してある。ほんの少しでも流れが変わればもうそこにグルクンはいないからだ。



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Posted by insherman at 12:00│Comments(0)アギヤー漁
 
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