2012年02月13日

コラム「南風」より  アギヤー漁をご存知ですか

2010年7月9日 琉球新報 コラム「南風」に投稿した記事から


みなさんはアギヤー漁をご存じでしょうか。明治末期に糸満の海人たちによって考案されたグルクンの追い込み漁のことです。

以前は県内各地で盛んに行われていたこのアギヤー漁ですが、宮古・伊良部島の佐良浜集落でも昔は1組合約70人近い親元で3組合もあったそうですが、現在では佐良浜集落においてただ1組合16人の構成で、われわれ国吉組によってこの伝統的追い込み漁「アギヤー」は行われています。

16人のうち、3人の若手を差し引くと、残る13人の平均年齢は66歳のオジーたちの集まりです。漁は10人のダイバーと、「甲板員」と呼ぶ6人の船上作業を行うメンバーとに分かれます。

アギヤー漁の仕組みは、まずグルクンがいる根に袖網を扇状に広げそこに袋網をつなげて、遠く潮上からグルクンを追い込んで来て一網打尽にする漁です。

コラム「南風」より  アギヤー漁をご存知ですか

そうやって書くととても単純な漁のように思われるかもしれませんが、その根の地形と潮の流れる方向とをうまく判断しながら網を張らないと、追い込んで来てもグルクンはどこかとんでもない方向へ逃げ出してしまい網までたどり着きません。

そのため熟練した判断力が伴わなければ網を設置する場所を決定することも許されず、10人のダイバーの中でもその判断をする作業に従事できるのは4人しかいません。

漁では数多くの専門用語があってしかもすべてが方言名。佐良浜の人たちもアギヤー経験者でない者はその意味すら知らない人たちが多いようです。そして現在県内市場に流通するグルクンの7割強はわたしたち国吉組からのものです。

みなさんがスーパーなどから購入するグルクンが輸入物でなければ、すべて伊良部島産だと思ってください。次回から漁の話やオジーたちの面白い話を書いていきたいと思います。



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Posted by insherman at 12:00│Comments(2)アギヤー漁
 
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