2011年04月15日

歩き回るな

海の潮には上げ潮(満潮)と下げ潮(干潮)がある そしてその海域によって潮の干満時の流れる方角は決まっている

本来ならば上げ潮で流れる時間帯だはずなのに下げ潮の流れで潮が動いていることもある またその逆もしかりである このように変則的な潮の動きはビーズンと呼ばれるこの時期に多発することがある

オジィ達に言わせれば 旧暦三月三日のサニツ時期くらいから冬の潮から夏の潮に変わって行くらしいる それじゃ単純に考えると 夏から冬の潮への変動は旧暦九月を迎えた頃からということになるのだろうか

われわれグルクンを獲物として狙うアギヤー漁では潮の流れの方向はとても重要になる アバウトな方角ではグルクンを探すことができない

歩き回るな

前回のブログにも書いたが奴らは潮が当たる潮上のリーフエッジで餌のプランクトンを補食している 出漁する際に暦上のその時間帯の干満の潮の流れに合う漁場を選択する

漁場に到着するとまず水深5m程の浅場を探し そこで初めて正確な潮の流れの方角を確認する 確認の仕方も人それぞれ違いがある 

海底にいる魚の向いている方向(泳ぎ回らずそこで定着している魚は必ず潮上に頭を向けているから)で流れを測る者もいれば 浮遊物で測る者もいる

わたしは昼食用に持参したおにぎりを少しだけ海に流しそれで測るようにしている 浮遊物だと海底に沈み込むことがないので おにぎりだと潮に乗りゆっくり沈んでいくためこの測り方が正確さを増すからだ

そこで細かな潮の流れを計測し改めてその海域の中で漁場を探していく しかし海域によってはその潮の流れる方角じたい合わないということもあるので そのときは別の海域に移動することもある

歩き回るな
 
バカスの日のある日の漁での出来事だった この日は一日中潮の流れがなくグルクンを探すのにかなり手間取っていた
 
船長がまず魚探で見つけ 海面から泳いで見るとかなり大きな群れがいた そこに目印となるブイを下ろし 網の設置箇所を選定するために親分が潜る準備を始めていた

しばらく奴らから目を離し準備をする親分と話をし 海面下を覗き込むとなんと今まで下にいたはずの大量の奴らが影も形もいなくなっていた

親分は潜る準備を止め今一度魚探で辺りを探し始めた しばらくしてちょっと離れた場所で奴らが魚探に映り込んできたので 様子見のために奴らの上を泳いでいた

通常その潮の流れであれば今いる場所に留まるはずの奴らは ゆっくりではあるが移動している これは潮の流れがない日によく見られる奴らの習性 オジィ達は「歩き回る」と表現する

この日は奴らに翻弄されなかなか漁にならない こちらにいたかと思えば今度はこちらと常に歩き回っていた なかなか網を張ることもできず 「いい加減にしろよ」な一日だった 



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Posted by insherman at 06:04│Comments(0)アギヤー漁
 
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