2011年04月02日

タンク爆発

今年は正月から大荒れの日が続き やっと出漁できたと思った矢先 3日目の漁で事故が起きた 私が乗る船ではないが僚船での出来事だった 潜り用のタンクに充填中タンクが爆発し 充填係だった者が全治4ヶ月以上の重症を負ってしまった 

伊良部島で潜り漁に従事している人達が使用するタンクのほとんどは 法令で定められている検査を受けた事のないタンクがほとんどで アギヤーでも20年以上使用しているタンクがたくさんある

私はこの漁に従事した当初からタンクの危険性を何度も指摘してきたが タンクの持ち主である船主達は「空気をたくさん充填しなければ大丈夫だ」と 危険性をまったく理解していなかった

それでも何本かあったアルミタンクだけは廃棄させてきたが 時が経つにつれ私個人の中でもこの古いタンクに対する危険性への認識が薄れてきていた

貧しかった時代を生き抜いてきたオジィ達は物を大事にするという気持ちが根強くあって 今の時代様々なものがすぐ手に入るようになっても どんなに古くても使える物はメンテナンスしながら使ってきた

タンクに関しても月に一度はサビ止めのペンキを塗り 20年以上経った今でも見える部分の外見は以外ときれいなものだった

しかし長年検査も受けず酷使してきたタンクは タンクブーツから下の見えない箇所はサビだらけで 今回の事故もナイフで切り取ったようにタンクブーツの部分から二つに割れる爆発だった

今回の事故は充填中の100気圧程度での爆発だったことが不幸中の幸いだった もしこれが満タンに充填していたならばおそらく死亡事故に繋がっていたことだろう

だが違う船のオジィ達の中にはいまだにこの事故は他人の出来事で 自分たちの船には起きえないことだと考えている者もいる 「空気を入れすぎるな」 いまだにその論法を主張しているからだ

タンクの構造 バルブの構造をまったく解っておらず 過去からの経験を元にした持論を展開する 長年の経験でも間違った経験も数多くある 潜水病のこともしかり 逆に悪化させて救急搬送されたこともある

物を大切にすることは素晴らしいことだ だが今回の事故を風化させず 危険性の高い物は周りから排除するという意識もオジィ達に判らせなければいけない 



同じカテゴリー(アギヤー漁)の記事
アパ
アパ(2013-09-17 21:46)

魔法使い君
魔法使い君(2013-09-03 23:40)

3000本の彼
3000本の彼(2013-09-02 22:51)


Posted by insherman at 13:44│Comments(0)アギヤー漁
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。