2010年01月17日

技のある切り方

今日はカツオ船「八幸丸」のエサ獲り 

この時期近海でカツオが獲れないため伊良部島に3隻あるカツオ船すべてがウブシュ(和名:スマ)狙いで尖閣列島まで遠征しての漁となる

技のある切り方

夏場のカツオ漁では宮古近海が漁場となるため漁は日帰りで行っている しかし尖閣諸島までは片道10~12時間もかかり行程も2泊3日 伊良部島のカツオ船からすると長旅の漁でもある

ウブシュ漁も夏場のカツオ漁同様生きた小魚がエサとして必要となる まあだいたいグルクンの稚魚が餌となるのだが 夏場はまだ小さく行動範囲も限られてくるので1隻のチームでも簡単に獲れる

月日が経ち稚魚たちも大きくなってきたこの時期では動きももう稚魚と呼べるものでもなく 本来のアギヤー漁のスタイルでないと獲るのが難しくなってきている

技のある切り方

そのためこの時期のエサ獲りはアギヤー漁を専門としているわれわれの出番となるのだ 

今朝も平良港に迎えに来てもらいサバニに乗り込むと輝男オジーがウブシュをさばいていた どうやら八幸丸からのお裾分けらしい

わたしが乗り込むとおしゃべり好きの輝男オジーはわたしとのおしゃべりを始めながらウブシュさばきを再び始めた

技のある切り方

そして輝男オジーはウブシュとともに自分の手のひらまでさばいてしまった 傷を見てみるとちょっと切ってしまったといえるような切り傷ではなく 縫わなきゃやばいだろうというほど深い

中の肉まで見えているのに痛みもないらしく出血もしてこない 「技がないから(不器用だから)手を切るんだよ」 「フリムヌ(バカ)おまえと喋って気をとられたからこうなったんだ」

「オジー これ縫わなきゃたぶん傷はふさがらないよ しかもこんなに切っているのに血も出ないし痛みも感じないなんて オジーになって血は減るし神経ももうろくしてるんじゃない」

技のある切り方

「フリムヌ切り方が上手だから血も出ないし痛みもないんだよ わかるかこれがオジーの技だ」 「そうだアンミ(網を補修するための糸)で縫ってあげようか(ただからかっているだけ)」

「フリムヌいくら何でも太すぎるだろう(あたりまえだっちゅ~の) それよりもビニールテープを取ってこいそれで巻いておくから」

オジー達は海の上でけがをするとこの工事用のビニールテープが医療用テープに様変わりする そして輝男オジーは赤いビニールテープを巻きながらの一日となったのだ  


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Posted by insherman at 23:17│Comments(1)アギヤー漁
この記事へのコメント
そうか、人の血が通っていないんだ(笑)
Posted by フリムヌ at 2010年01月18日 17:56
 
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