2009年08月18日

ガント

グルクンが獲れないこの時期4回も漁を行うことがある

本来スキューバダイビングの危険性を考えるならば2回までで終えるのが理想的な流れである しかし理想と現実は遠くかけ離れ通常3回までの漁があたりまえ

しかしこの時期3回の漁ではノルマの達成まで至らないことが多々ある そしてきょうもまた4回

1回の漁で 網の設置で1本 追い込みから網の浮上までで1本と 合計2本潜ることになる 単純に合計して4回の漁では8本潜ることになる

ガント

きょう最後の漁を終えた時点で一人肩の痛みがあるということで急きょ減圧をすることになった 減圧とはダイビング用語で「ふかし潜水」のことで 潜水病(減圧症)に掛かったダイバーの応急処置的なもの

佐良浜の潜り漁師の間でこのふかし潜水は「ガント」という呼び方をしている たぶんスキューバダイビングが佐良浜地区の漁師に導入された昔 導入者がこの減圧潜水の説明を英語か何かで行ったのだろう

それが訛って「ガント」になったのかもしれない 

昔のスキューバ理論ではガントを行う際これまで潜水していた深度まで降り それから時間を掛けある一定の水深で何度も減圧停止しながら徐々に浮上してくるという考え方だった

ただ潜水医学が発達したこんにち この理論は減圧症の悪化を招く要因が多く伴うということで行われなくなっている
 
ガント

それよりもスキューバ従事者は医学用酸素ボンベを船に常備し それを吸引させながら高圧チャンバー設備のある病院への搬送を奨励している

空気中に95%も含まれる窒素を高圧状態でタンクから呼吸することによって 浮上などで圧力が開放されたときそれが体内で潜水病の元となる

酸素(空気ではないですよ)を吸引させることにより体内に残存している窒素の 体外への排出率が高まるらしい

ガントも要はその理論での考え方なのだが それには圧力の掛かる水深が問題になるので どうしても行うのであれば10mよりも浅場で行わなければいけないのだ

ガント

だが佐良浜の潜り漁師(特に高齢の)の間でのダイビング理論は昔のままで 考え方もいまだ昔のまま ガントを行う際も水深20~30mの深場まで降りていく

以前からオジィー達にこのガントのやり方の危険性を何度も強く説明しているのだが 何十年もそれに従事し経験を積んできたオジィー達には わたしのアドバイスなど「やらび(子供)のくせに何が分かる」状態

いっこうにそのやり方を変えようともしない 人間年を取ると頑固になり周りの言うことなどまず素直に聞こうとしない なので最近はそんなガントでも注意さえしたこともない

でもいつかきっと大ごとになるぞ・・・


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Posted by insherman at 23:59│Comments(0)アギヤー漁
 
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