2009年06月30日

ちょっとだけ言わせて

とある雑誌の取材でとある芸能人(女性)がやってきた。

昔からの知り合いに頼まれてのことだけど、取材協力という形。後日雑誌でサバニクルーズを紹介してくれるとのこと。しかしこちらとしては単なるボランティア気分である。

最初は断ったが、宮古島に昔から存在する見えない縦の序列で、「宣伝になるからやれ」と言われれば返事は単純「ハイ」しかない。

本音としては「別に宣伝なんかしてもらわなくても(逆にわざと宣伝していないんだから)、本業はアギヤーだし、自分のHPだけで充分なのだけど・・・」である。

ただ自分の中では東京時代の仕事上でも含めこの芸能人という存在にあまり良いイメージがない。大人としての社会経験を積む前のまだ若い内から周囲の人間にちやほやされ感覚が麻痺してしまうのだろう。

たしかに売れてる芸能人なんて寝る間もないくらいに忙しく仕事をしているらしいのでその部分では感心はするが、しかし一般の社会ではいくらその人が忙しく仕事をしていようが周りの人間は誰もちやほやなんかしてくれない。

またこんな田舎なんぞに来ると、芸能人に限らずテレビに出る有名人に近づき世話役みたいに持てはやす人間がいるものだ。こんな田舎で芸能人なんていう存在に近づけ連れ回せるのならならそりゃ自慢にもなるだろう。

これまで仕事上関わってきた芸能人という存在で、カメラが回っていなくても礼儀正しくて人間性が変わらなかったのは若手お笑い芸人だけ。

よくテレビで言っているのが、お笑い芸人は下積みの長いのがほとんどで、芸人だけでは食っていけずいろいろなアルバイトを経験してきたということらしい。なのでその経験が大きく影響しているのだろう。

昔のアギヤーでのエピソードなのだが、テレビ番組の取材である大物有名人がやって来たことがあった。周りの関係者もその人のことを呼ぶ際に「○○さん」ではなく、「先生」と呼ぶくらいの大物だった。

獲ったグルクンを袋網から母船に乗せる作業をしていたその時、撮っていたカメラも終わりその大物先生は一人タバコを吸いのんびりしていた。

一人のオジィが大物先生に向かい「はい兄さん、みんなが忙しくしているのに一人だけ何にもせずにボーッとして、船に乗るんだったらあんたも仕事を手伝え」と怒鳴ったもんだから周囲の関係者は大慌て。

でもたしかにそうだ、オジィ達もカメラが回っているときは何も言わない。でもカメラが終われば「乗るんだったら手伝え」、それはアギヤーでのあたりまえのルールなのだ。

でもこの先生、大物になってから他人を怒鳴りつけることはあっても、他人に怒鳴りつけられたことなど皆無であろう。オジィ達からしてみればいろいろな機材を手にした関係者は忙しく見え、何もしていない先生様が暇に見えたのだろう。

また話は逸れたが、なぜこのブログでこんな事を書いているのかというと、この雑誌のボランティア取材を受けたとき相手から言われたのがサバニで海に出て欲しいとの要望だった。海上でサバニの上でその芸能人をモデルに写真が撮りたいとのこと。

日焼けを気にするであろう芸能人のためを考え、「サバニには日陰がない」ということをその際相手に伝えていた。そして相手もそれは了承していたはず。

しかしきょうの漁ではグルクンがなかなか獲れず帰りがかなり遅くなった。アギヤーの仕事は漁を終えてから港に戻り船や網を片付け、グルクンを種類別サイズ別に選別し、それを梱包して那覇に送ってからが終了となる。

その日の漁を終えた時点で港に戻り何もせずに帰ったとしても取材時間には間に合わない。帰ってからの選別作業のことを考えると早々に帰らないと梱包した荷物が飛行機の時間に間に合わなくなる。そうなれば翌朝の那覇での競りに間に合わず損害を食らうことになる。

アギヤーとまったく関係のない遅れそうなわたしの個人的な用事のために、自分たちも本来であれば急がなくてはいけないのに、何も言わず寄り道をしてくれて途中で降ろしてくれたオジィ達。

ちょっとの遅れはあったが取材陣と合流したとたんに出た相手からの言葉が「この船日陰はないんですよね」だった。相手のことを考えて何のためにそのことを最初に話したんだよとの気分にもなる。

「○○さん午前中ダイビングをして疲れているということなので海には出ずにここで取材させてもらっていいですか」ときたもんだ。だったらわざわざ寄り道までさせてあわてて帰ってくる必要など全くなかったわけだ。

「午前中に1~2本潜ったぐらいで疲れたなんて言わすな。こっちは今まで7本も潜ってきてそれでもあわてて帰ってきたんだから」と雑誌社の担当者にちょっとだけ文句をぶつけてみた。

しかしその担当者もその芸能人とは直接的な関係はないはずなので、文句を言っても間に置かれたその担当者がただ単にかわいそうなだけ。思い直してこれ以上言うのはやめた。

取材陣は潜りに詳しい人たちなので、こっちが「今まで7本も潜ってきた」なんて事を言ってもたぶん信じてないはず。結局最終的にやらせ的な写真を撮らされ取材は終了。


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