2009年04月24日

年に一度感謝を込めて

アギヤーでは毎年この時期に一年間の漁の安全と大漁を感謝して組合員全員が集まり宴を催す慣わしがある。宴が始まる前に親分の奥さんがお供え物を用意してから神様に感謝の祈りを捧げるのが最初だ。

ちょっと話は逸れるが沖縄で古来より受け継がれている信仰は仏教やキリスト教のような特定の神様を信仰するものではなく、自然界にある様々な万物を信仰の対象としたいわゆる自然崇拝だ。

現在世の中にはびこっている宗教と違い原始的宗教だろうが、でもそれがいい。争い事がないからだ。世界や民族間の紛争はほぼすべて宗教対立がベースになっているからだ。

年に一度感謝を込めて

さて話は戻るが、親分の奥さんは一年の報告と全員が安全に仕事が務められたことを海の神様に報告する。そして祈りが終わるとそこから宴の開始。

まずは外の物置に雑に敷かれたゴザととテーブルでひんじゃ(山羊)鍋を全員でいただいてから。沖縄では昔から何か祝い事とか行事があれば、その家で山羊か豚を解体して料理し来客される方に振る舞う風習がある。

しかし、ちょっと待って・・・   この家畜を自分たちで解体する行為、実は法律違反でもある。宮古全島には保健所から「家畜の自己解体は法律違反です」とのお達しが流れている。

年に一度感謝を込めて

だが昔から培われてきた風習を、特にそのような風習を大事に受け継いでいる地域などで「はいわかりました」などと素直に聞くわけがない。味付け方なども昔から変わらぬ味付けでとっても美味し???いひんじゃ鍋は完成した。

だけどこのひんじゃ鍋、個人的には昔から食べることができない。山羊独特のとっても臭い匂いが鍋から漂ってくるだけでも気持ち悪くなる。

だが一緒に連れて行った次男などは「美味しい」を連発しながらみんなと一緒の席に座り食していたのだった。帰りに「山羊は美味しかった?」と聞くと、「熱かったけど豚よりも美味しいよ」などとほざいていた。

年に一度感謝を込めて

さあそしてこれからが本番。ひんじゃ鍋でお腹を丈夫??にしたオジィ達は部屋の中へ入り宴会が始まるのだ。こちらの人間は内地の人間と違い、何かつまみを食べながら酒を飲むということはしない。食は食。酒は酒なのだ。

一滴も酒をたしなむことができない自分にとってこの時間からは恐怖の時間でもある。アギヤーのメンバーは酒が飲めない事実を知っているので強要はしないのだが、次から次へと祝いにやって来るゲストなぞは「そんなの関係ねぇ~」なのだ。

ちょっとでも口にすると「おぅ飲めるじゃないか」で次から次へとオトーリの嵐を浴びせられる。この恐怖から逃れる最善の策はまず家の中に入らないこと。それと来客がある玄関先にいないこと。この二つができれば大丈夫。

年に一度感謝を込めて

そして飲まされないためのもう一つの口実として一緒に連れて行った次男がいる。これから野球部の練習がある次男を送らなきゃいけないので車で来ていたからだ。

この画像のときはオトーリが始まったばかりでまだ全員がしらふの状態。集まっている人の数もまだまばらだ。この画像を最後に次男を連れとっとと退散した。

後から源ちゃんから聞いた話だけど最後はほとんどみんな意識がない状態だったらしい。その意識のない状態の中で二次会の飲み屋へとみんな去っていったとのこと。


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Posted by insherman at 23:28│Comments(0)アギヤー漁
 
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