2009年03月12日

トラブルを回避するには

伊良部島周辺は宮古の代表的なダイビングスポット。そしてまた南東の風が強く吹き出したとき年に数回だけのアギヤーの漁場にもなる。

とにかくこの漁場では「素早く行動」が基本原則。ダイビング船が集結してくるまである程度の漁をしておかないとどうにもならなくなるからだ。

でもこちらがいくら素早くと考えて行動しても潮の動きやそれに伴うグルクンの動きはわれわれに同調などしてくれない。獲物を見つけさあこれからだというときにはもうダイビング船が集まってきている。

アギヤーでは獲物を見つけたときには目印となるブイを入れる。そしてその周辺にはまず近づかないようにするし網を入れるにしてもなるべく船はその目印のブイを迂回するようにする。

グルクンは根の潮上のリーフエッジの水面下や中層でエサのプランクトンを補食している。アギヤー漁ではそこに目印のブイを入れその根に沿って潮下に網を張り、ブイを入れた潮上から追い込んで行く。

船がエンジン音を轟かせグルクンがいる根ノ上を通過すればそのグルクンはビックリして違う根に移動することもある。そうなると大変な思いをして海底に張り付けた網が何の意味をもなさなくなるからだ。

特に船のエンジン音が大きな大型船などはもってのほか。アギヤーの中でもエンジン音の大きな母船は特にそのことに気をつけていつも潮下にいる。

トラブルを回避するには

伊良部島周辺ではグルクンが集まるポイントがレジャーダイビングでもポイントになっている。きょうも一回目の漁を終えて次のブイの前に行くとそこにはダイビング船が集結していた。

魚探でも探し、水面からとダイバーとで探してみたもののさっきまで群れになって固まっていたはずのグルクンが一匹も見えなくなっていて、いたのは網も張れないような水深50m近いすぐ近くの沖の根。そこに移動していた。

オジィ達はほぼ全員が怒っていたがでもそれはしょうがないことでもある。ダイビング業者はアギヤー漁のシステムを理解していないし、仮にそこにブイがあったとしてもそれが果たして何のためのブイなのかも理解していない。

そして一番の大事件は最後の追い込み前におこった。さあこれから追い込み開始だとダイバー全員が母船に集まり、潮上に入れたブイまで今まさに移動しようとしたその時、ダイビング船がアンカーをあげその潮上のブイの方へと走っていく。

こちらがいくら叫んで手で合図をしてもそのダイビング船の誰一人としてこちらを振り返る人もいない。そして船はサバニの近くはゆっくり走り、通り過ぎると轟音を立て全速力でブイのすぐ側を走り去っていった。

もうダイバーのオジィ達の怒りも沸点まできているようで、怒り過ぎなのか誰一人として声を荒げる者もいなくただ全員がその走り去るダイビング船をじっと見つめているだけだった。

潜ってみるとさすがにもうそこにはグルクンはいなくなっており、残っていたのはバジラク(和名:アカモンガラ)だけだった。

たぶんダイビング業者もサバニの近くだけで漁をするものだと勘違いしているようで、気を利かせてサバニの近くではスローで走ってくれたのかもしれない。

トラブルを回避するには

しかしサバニの近くはただ単に網を入れている場所ということだけのことで、もっとも大事なのは潮上に入れてあるブイ。

ダイビング業者もこれからアギヤー漁の近くを通過するのであればサバニから潮上およそ300m内(長い距離でそれくらいから追い込むときもある)は横切ったり近づいたりしないでほしい。

ただ間違えてはいけないのがサバニからどちら側が潮上かということ。たぶん業者の人たちは新聞や宮古の潮汐表から満潮干潮の時間を調べて知っているはずだ。

でも潮の流れ方はその通りではない。満潮に掛けての時間帯でも潮の流れは下げ潮の流れ方をしている場合もあれば、その逆もあるのでそこのところはよく注意して欲しい。そして潮下であればサバニの真後ろを通過しようが何ら問題はないので。

漁業という一次産業で利益を得ているわれわれと、観光産業で利益を得ているダイビング業者。どちらも同じように海で生計を立てている身なので一概にダイビング業者が悪いと邪魔者扱いにもできないと思う。

これまでの漁業者とダイビング業者のいざこざも収まり、これからお互いに共存していこうとしている今、上記のようなたった一回の行為がトラブルの元凶になりかねない。しかしそれはお互いが近くでバッティングすることがあればこれからも多々起きることだろう。

特にダイビング事業者との接点が多いのはサバニを使用した潜水器漁だけだと思われる。一つの解決策として、漁業組合の代表者やダイビング業者の代表者が接点の多い漁法について話し合いトラブル回避について話し合うべきだろう。

それがなければ昔からその海と関わり、海を自分たちの財産だと認識している漁業者からは「すべてダイビング業者が悪い」と以前のような事になっていくと思う。


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Posted by insherman at 23:28│Comments(0)アギヤー漁
 
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