バリ島ダイビング事故

insherman

2014年02月20日 14:35

インドネシア・バリ島で現地時間14日におきた7名のダイバーの行方不明事故。不幸中の幸いにも5名が無事に救出され、不幸にも1名の方が亡くなられ、いまだ1名の方が行方不明になっている。

事故に遭われた彼女たちのようにレジャーダイビングとは違うが、わたしも海に潜る職業である。さらに彼女たちが行っていたドリフトダイビングに近い潜り方も頻繁に行うので、その危険性についてちょっと一言だけ。

通常宮古島のダイビング業者が行っているダイビングスタイルは、ほぼ全サービスともポイントに到着すると船のアンカーを降ろし、その周辺を回遊してから船に戻るというスタイルをとっているはずだ。

ドリフトダイビングとは潮の流れが速い海域などにおいて、その潮の流れに乗り周りの地形や魚を楽しむもので、比較的そのような海域では大型の魚に遭遇する確率が大で、またフィンを蹴る必要性も低いので、体力を消耗せず楽しめるダイビングスタイルかもしれない。

しかしだ、このドリフトダイビングには大きなリスクもあるはずだ。事故をおこした船の船長の話がニュースで流れていたが、ダイバーから出る泡を船上から目視で確認しながら船を走らせていたところ、天候の急変に伴い波が高くなり、その結果泡を見失ったのが事故に繋がった要因だったようだ。

われわれアギヤー漁に置き換えて話すと、漁のプロセスの中で獲物と地形の確認のため必ず一人のダイバーが潜るが、潜る前にオモリとロープが繋がったブイを目印として必ず投降する。

さらに潜るダイバーを水面から追いかけながら泳いだりする。それはダイバーからの指示を受けるということもあるが、さらなる理由は潜っているダイバーを見失わないということが重要だからだ。

島沿いに漁を行うことがあれば島の何らかを目安にできるが、アギヤー漁のほとんどの漁場が島からかなり離れた場所に存在するため、水面上にいる自分たちの位置と距離感がまったくつかめなくなる。

われわれもたまにあることだが、何らかの理由で水面からダイバーを追いかけられないときなどは、バリ島のダイビングのようにダイバーから出る泡を追いかけて追跡することもある。しかし、ダイバーの泡は見失うことも多々ある。

海が穏やかで水面に波が立っていないときなどは泡の追跡も容易にできるが、少しでも波立っていたりだとか、またドリフトダイビングを行うような潮流の強い海などは、潮の強さのせいで海面がざわつき泡の確認が容易ではない。

われわれの場合、ダイバーを見失った際は降ろしたブイを基準としてそれの範囲に止まるし、ダイバーは基本的にそのブイから潮下に泳ぐので、潮下を注意して見張り浮上してきたダイバーを確認する。

アギヤー漁では潮流の流れる方向がとても大事で、その都度潮流の方向を確認しているためダイバーが浮上する位置はある程度予測が付くが、しかしたまに見失ったダイバーが遙か遠く、さらに予想だにしない位置で浮上することもある。

われわれは網の設置以外、追い込みに使用する竿を持って必ず潜る。その理由とは、様々な海域に潜るのでほぼ確率は低いにしても、これまで見たこともないような化けものみたいな大きさのサメに遭遇することがある。

それがまたおとなしくしていてくれたならば何の問題もないが、自分の恋人と勘違いして近づいてくることもあるし、また餌と勘違いして食べたくなることもあるようだ。恋人なのか餌なのかサメと話したことがないので、まっ一種のサメよけとして竿は必ず携帯している。

もう一つの使い道として、船がダイバーを見失っているときに水面上でその竿を空高く突き上げていれば船から容易に見つけやすいので、追い込み用の竿は以外とレスキューグッズなのかもしれない。

バリ島に話を戻すが、まず彼女らの大きなミスは船上に一人しかいなかったことだろう。泡を追いかけるにしても一人より二人だし、ドリフトダイビングの安全性をより高めるのなら、ガイドダイバーが、本人と細いロープで繋がった小さなブイを水面に浮かべながら潜れば、船上ではそのブイを目安にすれば見失うことなんてなかったはずだ。

一人の方が亡くなられているし、いまだ一人が行方不明になっている現在、一日でも早く見つかるといいですね

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