魔法使い君

insherman

2013年09月03日 23:40

われわれアギヤー漁もグローバルに紹介されるような時代で、イギリスのBBC、世界最大の米国の通信社AP通信などなど、過去に海外メディアも取材に訪れたことがあった。

とあるメディアの取材には身の丈2mもありそうな、アフリカ系フランス人の記者が一人でやって来た。そしてその記者の顔がとても印象的で、いまだに記憶に残っている。

少しではあるが日本語が喋れる彼はけっこうな関西弁で、話を訊くと日本滞在時はどうやら京都で暮らしているとのことだった。顔にかなりの特徴があって、一度会うと二度と忘れることのないその顔は、頭はスキンヘッドで耳の上側が尖っていて、まるで映画の魔法使い役にでも出てきそうなとっても印象深い顔だった。

さらに、印象的な顔以上に彼が発した言葉にわたしはかなり驚かされた

「ワタシハ、アナタタチノヲシュザイスルタメニ、ダイビングノCカードヲトッテキマシタ。ソシテキョウガハジメテノダイビングデス。」

「はぁ!!!、そんなんであなた一人で潜るの?。だいじょうぶなの?」

「OK!、ジシンナイデスガ、タブンダイジョウブデショ~~~」

なにがだいじょうぶじゃ~、もし何かあったらどうするんじゃい。と思ってみたが、本人がそのためにやって来ているんだし、親分達もまったく気に返してもいないようなので、それ以上は何も言わなかった。

そして彼の初ダイブはとっても笑える初ダイブとなった。追い込みが始まる前に魔法使い君を母船から網の側に降ろしてやった。

「この下に網があるからそこにいて。わたしらはむこうから魚を追い込んでくるから。」

「OK」

そうやって海に飛び込んだ魔法使い君にカメラを渡し、母船を追い込みポイントへと走らせた。途中サバニのオジィが何やら叫んである方向を指さしているので、その場所を見渡してみると、魔法使い君はまだ水面で足をばたつかせていた。

そのうち潜るだろうと船を止めしばらく見守っていると、魔法使い君は潜水艦のように徐々に潜っていくつもりなのだろうか、映画のシーンで潜水艦が潜航時に「だいぶ・ダイブ・Dive」とアナウンスが流れるように、そのアナウンスがどこからともなくこちらにも聞こえそうな、魔法使い君のシーンである。

フィンを一生懸命蹴っているが潜水艦のようにとは行かず、潜るどころか徐々に潮下へと流されていく。その日は潮の流れがちょい強めの日だった。あれじゃ仮に潜れたとしても、もう網にはたどり着けないだろうと母船で回収しに戻った。

母船を彼に横付けして声を掛けても、潜るという行為に必死な魔法使い君は船の存在にも気づかず、わたしらの呼びかけにもまったく気づかないでいた。上から見ていると潜れない原因はどうやらBCにあった。彼はBCのエアーを抜いていなかったのだ。

しばらくしてようやくわたしらの存在に気づいた魔法使い君をもう一度船に回収し、BCのエアーを抜いていないから潜れないことを説明すると、

「OHHH!!、ソウデシタ、トテモヒサシブリナノデワスレテイマシタ。コンドハダイジョウブデス。」



二度目はどうにか潜ることのできた魔法使い君。取材に満足したのか、それとも自分の潜りに満足したのか、そこは知るよしもなかったけど、漁の帰りに何やら鼻歌を歌っている。

「この歌はフランス語なの?」

「ハイソウデス。アナタフランスノウタナニカシッテイマスカ?」

「マダム・エマニエル」

そしたらいきなりエマニエル婦人を歌い出した魔法使い君。しかもめっちゃ歌が上手いときたもんだ。彼の口ずさむ歌に、高校生時代の記憶がよみがえってきた。籐のイスに座った裸のエマニエル夫人。鼻血が出そうなくらい当時は興奮したもんだ。

一通り歌い終えると、

「ホカニモナニカシッテイマスカ」

「エディット・ピアフの水に流して(NON,JE NE REGRETTE RIEN)←これフランス語のタイトル」。昔から好きだったシャンソン歌手の名前を挙げた。

「アナタフルイウタ、ヨクシッテイマスネ」

と言いつつも巻き舌のエディット・ピアフをまたまた歌ってくれた。魔法使い君サイコー!!!

港へ戻り、、、ここからはちょっと下ネタになるので青少年諸君は読まないように

シャワーを浴びている魔法使い君、そこにはありえへん光景が・・・・

東洋人ではけしてありえへん、なにやら象の鼻のような不思議な物体が彼の身体に付着していた。「なんじゃこりゃあ~~~!!!」、そう奴の逸物は象の鼻というか、馬だった。馬並にバカでかい逸物が奴の股間から垂れ下がっていた。あとほんのちょっとで地面に届きそうな物体が。

バケ者だ!!、奴は化け物だ!!。奴はエイリアンだ!!。でも完全に皮が被さっていたし・・・

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